目は直接外の空気に接しており、外からの影響を受けやすい器官です。空気の乾燥や異物の混入など、さまざまな要因で目の表面に痛みを感じることがあります。
目に痛みを感じる病気には、外からの影響によるものと、体の内部や目の奥が原因となっている場合とがあります。具体的には黒目(角膜)の部分に何らかのトラブルが起きている可能性があり、専門医による診察が必要です。
万が一目に違和感が出ても目を直接触らない、清潔にすることが重要ですし、普段からこまめに目を守る習慣を心掛けたいですね。
本記事では、目の表面が痛いと感じたときにどのような症状がみられるのか、考えられる原因とそれぞれの病気に対する治療方法を紹介します。
目の表面が痛い際の症状
目の表面にピリピリ、じーんとした痛みを感じるとき、痛み以外にはどのような症状がみられるのでしょうか。
異物感
ホコリ・小さなゴミ・砂・虫・抜け落ちたまつ毛など、目に何かが入り異物感を感じるケースです。
自分で直接ゴミなどを取り除ける場所の異物は「結膜異物」と呼ばれ、眼科などの専門医でしか除去ができない異物は「角膜異物」と呼ばれます。
角膜異物は目の角膜部分にものが刺さった状態で、放置していると細菌感染をおこすおそれもあるため、すぐに専門医を受診してください。
ショボショボする
目のショボショボとした感覚は、ドライアイや眼精疲労(疲れ目)が影響しやすく、デスクワークやパソコンなどのモニターを集中的に見つめる環境下で多くみられる症状です。
どういうわけか目が気になる、何度もまばたきをするがショボショボ感がとれないなどの症状を感じることがあります。
目の乾き
目は直接外気と接しているため、本来であれば乾燥を防ぐための潤いが表面を覆ってくれます。しかし何らかの原因で、目が乾燥する「ドライアイ」になると、目が乾いている感じが出てきます。
目の乾きは口の渇きのようにはっきりと自覚できない場合があるため、「いつもの事だから」とそのままにしてしまいやすいものです。しかし乾いたままの目は角膜が傷つきやすく、目の自浄作用も不足するために、感染症などさまざまなリスクに注意が必要です。
目の充血
目の表面に痛みを感じ、充血の症状が現れるケースです。目の炎症や眼精疲労が原因で目の血管がふくらみ、充血の症状を引き起こします。
外部環境の刺激によって炎症が起きている可能性もありますが、目の酷使やその他の原因で充血が起きている可能性もあるため、「いつもと違う」と感じたときは専門医を受診してください。
原因と疑われる病気
目の表面に痛みを感じたときは、どのような原因が考えられるのでしょうか。
ドライアイ
ドライアイは目を潤す涙の不足によって、目の表面が傷つく病気です。目のショボショボとした感覚や、目の痛みなどが代表的な症状です。
乾燥した空気や環境下、あるいは肌などが乾燥しやすい体質の方などに多く、コンタクトレンズの長時間の装着などが影響するほか、全身の外分泌腺に炎症が起きる「シェーグレン症候群」もドライアイの原因となります。
ドライアイについて詳しくはこちら。
睫毛内反・睫毛乱生
睫毛内反(しょうもうないはん)は「逆まつげ」という名称で広く知られており、
まぶたが眼球側に入ってしまうために、まつげが眼球に接触して異物感を引き起こす症状です。
睫毛乱生(しょうもうらんせい)は、まつげの毛根の位置に乱れが生じ、角膜を傷つけてしまう症状です。
麦粒腫
「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」は、
皮脂腺に細菌が感染してできるもので、ものもらいという呼び名でも知られています。まぶたの一部が赤く腫れるため、目の痛みを感じやすくなります。
麦粒腫と似ている病気には、皮脂腺に分泌液が溜まる「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」や涙嚢炎、涙小管炎などが挙げられます。
角膜上皮障害
角膜上皮障害は、
目の表面の角膜部分に傷がついた状態です。痛みのほかに異物感を感じることもあり、ささいな傷でも角膜の三叉神経が反応して痛みを実感します。
緑内障発作
緑内障発作は、
急激な眼圧上昇とともに視神経に障害が起き、視野の欠損を生じる病気です。
眼圧の上昇によって目のかすみや充血、目の痛みを実感し、人によっては吐き気や頭痛が起きてきます。視神経が障害されるため、症状をそのままにしていると失明に至ります。
対処法・治療法
目に痛みを感じる症状には、砂やまつ毛などの異物から緑内障などの重大な病気までさまざまな原因が考えられます。ここからは、病気に対する対処法や治療法をみていきましょう。
ドライアイの治療
ドライアイは目が乾かないようにヒアルロン酸を配合した点眼薬などを使用し、人工涙液で涙を補います。点眼薬のほかに、涙の出口を塞いで一定の涙を目に溜めて乾燥を防ぐ「涙点プラグ」という治療も行われています。
睫毛内反・睫毛乱生の治療
睫毛内反・睫毛乱生は、乳幼児にみられる場合は成長とともに治る可能性がありますが、加齢などで後天的に起こる場合は手術を行い、余分な箇所を除去します。
麦粒腫の治療
麦粒腫は細菌感染によって起こる症状で、抗生剤による治療を行います。点眼薬・軟膏が処方されるほか、内服薬による治療も一般的です。
角膜上皮障害の治療
角膜上皮障害は、角膜に傷をつけた原因を取り除いてから細菌感染を防ぐ必要があります。たとえば睫毛内反のようにまつ毛が目に入ってしまう症状が原因であれば、症状が起きないように予防や対処を行ってから、角膜の傷口が感染症を起こさないようにします。
緑内障発作
緑内障発作の治療は視神経が障害を受けているため、救急的な対処が必要です。眼圧を正常な状態に戻し、点眼薬や点滴、手術によって治療を行います。
目の奥が痛い場合
目の表面に痛みを感じる場合の原因や治療法などについて紹介してきましたが、目の表面ではなく、目の奥の痛みにお悩みの方もいると思います。
目の奥が痛いときの原因や治療法について紹介している記事もございますので、ぜひこちらもご覧ください。
目の奥が痛いと感じるときの原因・症状と治療方法
目の表面が痛いときは早めに専門医へ
今回は、目の表面が痛い症状や病気について紹介しました。
目の痛みの原因がよくわからない場合、定期的に繰り返すような場合には、早めに専門医を受診しましょう。
北あやせよつば眼科では、患者様一人ひとりに寄り添った治療を実施しています。ぜひ目の痛みについてご相談ください。