白内障になると見え方はどう変わる?注意すべき自覚症状と治療方法とは

「目がかすむようになった」「視力が低下してきた」などの気になる症状があらわれた場合には、白内障を発症しているかもしれません。
初期の自覚症状は軽いものが多いため、治療をせずに放置する方も多いでしょう。

しかし、放っておくと様々な症状があらわれてきて、生活に支障が出るほど進行する病気です。
この記事では注意していただきたい自覚症状や、治療法などをご紹介します。

監修者:玄 真
きたあやせよつば眼科 院長
玄 真

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院をはじめとした医療機関で研鑽を積み、眼科専門医を取得し、2015年に『北あやせよつば眼科』を開院しました。
日常的な目の不調から、レーザー白内障手術のような専門性の高い治療まで、幅広い診療を提供しています。0歳の乳児からご高齢の方まで対応し、現在では遠方からも多くの患者様にご来院いただいています。
地域の皆さまが安心して質の高い医療を受けられるよう、一人ひとりの「目のかかりつけ医」として、誠実に診療にあたってまいります。

目次:考えられる原因

白内障の見え方

白内障の見え方

白内障は初期の頃には、見え方にほとんど自覚症状がありません。
そのため、いつの間にか進行して、気が付いた時には重症化しているというケースも多いです。

「もしかしたら?」と思ったら、早めに受診するようにしてください。
症状が軽度のうちに、できる限り早く発見し、治療にあたることが重要です。

日本における初期白内障の有所見率は70代で80パーセント以上、80代では100パーセントと、ほとんどの人に白内障の疑いがあり、他人事ではありません。
また、加齢以外が原因の場合もありますので、症状を見逃してしまわないよう、自覚症状をチェックするようにしてください。

 

視界が白く濁って見える

視野が白くかすんだり、なんとなくすっきり見えないといった症状があります。
白内障は目の中の水晶体が濁ることによって発症する病気です。

水晶体は元々透明で、カメラで言うレンズのような役割をしているため、濁ると視界も白く濁って見える仕組みとなっています。
カメラのレンズが曇っていたり、汚れていたりすると、はっきりしないぼやけた写真になるのと同じです。
濁り方は人それぞれで、どの部位から濁るかによってタイプが異なります。

加齢による白内障の多くは、水晶体の周辺から濁るタイプで、視力に問題はありません。
中心部が透明であれば、視力は低下しないからです。

一方、核と呼ばれる中心部から濁るタイプは、視力が低下します。
核が硬くなって、光の屈折率が変わるからです。
濁りが黄ばんでいるため、白いものが黄色く見えるといった特徴もあります。

疲れてゆがんで見える

白内障になると今まで以上に目を酷使するので、長時間活字などを読む作業をすると歪んで見えることもあるでしょう。
人は物を見る時には、水晶体の厚みを絶えず変化させて、ピントを合わせています。

しかし、白内障では水晶体が白く濁ってしまうため、なかなかピントを合わせられません。
それでも目は、まわりの筋肉を酷使して、がんばってピントを合わせようと働くため、疲れてしまうのです。
活字を読むなどの作業は、目にとってストレスとなり、眼精疲労につながります。

白内障になると、ちょっとしたことで目が疲れやすく、文字が波打って見えることもあるでしょう。

まぶしく感じる

外からの光は通常水晶体を通って、目の中に届けられます。
その時に、白内障だと水晶体が濁った状態なので、入ってきた光が乱反射してしまうのです。

網膜に届く光の位置が乱れることにより、まぶしく感じるようになります。
特に光に敏感になりやすいのは、暗い場所で明るい街灯や信号を見た時です。

夜間の運転中では、対向車のヘッドライトなどもまぶしく感じるでしょう。
夜道での転倒事故や、運転中の交通事故にもつながりかねないので危険です。
このような症状があらわれたら、すぐに受診するようにしてください。

物が二重三重に見える

物が二重三重に見えるのも、白内障の代表的な症状のひとつになります。
水晶体が濁っている部分と、透明な部分とでは光の進行方向が違うため、複数の像が見えるからです。
入ってきた光を通常通りに通せなくなり、光が散乱して目に入ってくるようになる状態になっています。

例えば、月を見てみると分かりやすいです。
片目ずつ見て、月が二重三重に見える場合には、白内障かもしれません。
このように、物が複数に重なって見えることを、複視と言います。
ただし、複視の全てが白内障によるものだとは限りません。

白内障の治療方法

白内障の治療には、点眼治療やメガネの新調、手術などがあります。
初期の白内障では、目薬の使用が効果的な場合もあるでしょう。

ただし、目薬やメガネによる治療は、あくまでも進行をある程度抑えるための方法と考えてください。
目薬による点眼治療では、水晶体を透明に戻すことはできません。
白内障が進行してきて、日常生活に支障をきたすような場合には、手術する方法が一般的です。

目薬による治療

症状の軽い人は目薬を点眼することで白内障の進行を遅らせられる可能性があります。
白内障の初期に使用される点眼薬は「ピレノキシン製剤」と「グルタチオン製剤」の2種類です。

ピレノキシン製剤は、白内障の起因となる「キノイド物質」の成長を抑える働きがあります。
水晶体の透明性を維持し、進行を抑制する効果などが報告されている薬剤です。

グルタチオン製剤は、白内障が進行するにつれて減少する「グルタチオン」を補います。
白内障の発症や進行の防止、水晶体の透明性を保つ効果が期待できますが、効果は限定的です。

目薬はあくまで予防や病気の進行を遅らせる意味で用いる治療方法になります。
完治するわけではないので、症状の進んだ人や、完全に白内障を治したいという人には不向きです。

メガネを新調する

症状によっては、メガネの新調で緩和できます。

白内障によって視力が低下した人は、合わないメガネをつけていると余計に目に負担がかかってしまうからです。
自分の視力に合ったメガネに新調すると、疲れが軽減されて進行を遅らせる効果が期待できます。

また、まぶしく感じる人は偏光レンズや調光レンズを入れることによって、見えやすくなる場合もあるでしょう。

手術をする

白内障によって起きている症状を完全になくすには、手術するしか方法はありません。
目薬などを使用しても、濁ってしまった水晶体を透明には戻せないからです。

手術をすると、見えづらかった視界を、元通りのクリアな視界に戻せます。
日常生活に重大な支障をきたしている場合や、このままだと将来失明するリスクがある場合などは手術に踏み切るのも1つの手段です。

手術内容は目の中を切開して濁ったレンズを取り除き、水晶体の代わりとなる眼内レンズを入れます。
点眼麻酔後に手術を行うので、痛みを感じる心配もありません。

ほとんどの手術が10〜20分ほどで終わり、比較的安全性が高いため、日本では年間約160万件行われています。
ただ、全ての治療や手術にはリスクがあるので、把握しておくようにしましょう。

例えば、細菌感染による合併症や、レンズのズレなどが起こる可能性があります。
医師の説明をしっかりと聞いたうえで、慎重に決断することが重要です。

白内障を放っておくとどうなるか

白内障は例え気が付いても「加齢によるものだから仕方がない」と、放置してしまう人も多くいらっしゃいます。
しかし、症状があるのに放置していると、手術の難易度が上がったり、目が見えなくなったりするだけでなく、ケガなどの様々なトラブルをまねく恐れもあるでしょう。

見えづらいまま生活していると、ちょっとしたことで転倒したり、外出先で交通事故に遭ったりするかもしれません。
さらに症状が進行すると、目が見えなくなる可能性もあります。
手術の際には、合併症を引き起こす可能性などにも注意が必要です。

黄色や茶色に濁って見えるようになる

白内障が進行すると、目に映る世界の色が変わって見えることがあります。
初期には、白く濁って見えているだけだった症状が、進行すると黄色や茶色に濁るようになるでしょう。
もっと進行すると真っ白になることもあり、ほとんどなにも見えない状態になります。

手術の難易度が上がる

白内障を放ったままにしていると、深刻な合併症を引き起こす可能性が高くなるため、注意が必要です。
水晶体融解性ぶどう膜炎や急性緑内障などを発症すると、手術の難易度はぐっと上がります。

さらに、後遺症が残る可能性も高いです。
年齢と共に水晶体はどんどん硬くなるので、放置する時間が長くなるほどトラブルが発生するリスクも高くなると言えるでしょう。

見えづらいことで他のトラブルをまねく

視力が低下したりかすんで見えたりすると、ケガなどのトラブルをまねく恐れがあります。
見えづらいまま日常生活を送るには、あらゆる場面で注意が必要です。

思わぬ所で転倒したり、外出時に交通事故に巻き込まれたりするかもしれません。
ストレスや眼精疲労の蓄積から、肩こりや頭痛に悩まされる場合があります。

目以外のところにも、不調をきたすようになるでしょう。
さらに、慢性的な疲れがたまり、寿命が短くなる恐れもあります。

白内障に関してのよくある疑問

白内障手術をしたあとは、目にさまざまな症状が見られる場合があります。ここでは、白内障手術後・視力安定までによくある症状を紹介します。

まぶしさを感じる

白内障手術をしたあとに物を見ると、これまでよりもまぶしさを感じることがあります。

これは水晶体をレンズに交換したことによって白濁がなくなり、目に入る光が増えたことが理由です。白内障が進行して濁りが多かった人ほど、光もまぶしく感じる傾向にあります。そのため、白内障手術後に感じるまぶしさは治療ができた証ともいえるでしょう。

通常は透明なレンズに目が馴染んでくるため、1ヶ月ほど経過すると当初のまぶしさは軽減されます。 まぶしさが気になる場合は、サングラスで対処しましょう。

視力の回復が遅い

白内障の手術をしてから1ヶ月が経過しても視力が回復しない場合は、以下のような原因が考えられます。

  • 目に別の疾患がある
  • 進行した白内障の手術を行った
  • 脳が眼内レンズに適用できていない

目に別の疾患があったり、進行した白内障を治療した場合などは視力が回復するまでに時間がかかるケースがあります。

進行した白内障は手術後に角膜の浮腫で起こりますが、時間が経過すると治る場合がほとんどです。しかし、別の疾患が原因だと回復しない可能性もあるため、術後の検診時に医師に相談しましょう。

また、多焦点眼内レンズを使用している場合はこれまでの焦点の合わせ方と異なることで、脳が順応できずに視力の回復までに時間がかかるケースもあります。

場合によっては1年近く症状が続く場合もありますが、自然に改善するケースがほとんどです。

視界が青くなる

白内障の手術後に視界が青く見える場合があります。

このような症状を「青視症」といい、汚れていた水晶体によって遮断されていた青色の光が、レンズを交換することでカットされなくなって起こります。

白内障が進行すると水晶体は黄色く着色されて、少しずつ青色の光の鮮明度が落ちてきます。この変化は長年かけて少しずつ起こるため、手術前に青色の鮮明度が若い頃に比べて落ちていることを自覚することはほとんどありません。

汚れたレンズからきれいなレンズに変わることで、青色が鮮明に見えるわけですが、数ヵ月ほど経過すると見え方に慣れて違和感はなくなります。青視症が日常生活に影響が出るような場合は、サングラスの着用で対処しましょう。

ライトがまぶしく見える

白内障の手術後はレンズがクリアになってまぶしく見えること以外に、レンズが光を適切に集めることができずにライトがまぶしく見える「グレア」が起こるケースもあります。

グレアは手術直後に発生することが多く、時間とともに軽減される場合がほとんどです。しかし、日中の屋外や車の運転に悪影響を及ぼすような場合は以下の方法で対策できます。

  • メガネを調整して光の乱反射やまぶしさを軽減する
  • 瞳孔を縮小する点眼薬を処方してもらう
  • サングラスを使用して光を遮る
  • 室内の照明を調整してまぶしい光を避ける

グレアは構造が複雑な多焦点眼内レンズの使用時に発生しやすいですが、単焦点眼内レンズで発生するケースもあります。

また、光の周りにリング状のもやがかかる「ハロー」や、光源から放射状に伸びる光の線が見える「スターバースト」などもグレアと似た現象です。

いずれも光の焦点が複数の分散することで起こりやすく、グレアと同じように時間の経過とともに改善します。

黒いものが飛んでいるように見える

白内障の手術を受けたあとに、「黒いものが飛んでいる」「糸くずみたいなものが目の前を飛んでいる」などの症状が現れるケースがあります。これは「飛蚊症」と呼ばれる症状です。

水晶体の裏には硝子体と呼ばれる物質があり、加齢とともに濁りが生じます。白内障の手術によって濁った水晶体をきれいな眼内レンズに取り換えると目に入る光も増えるため、硝子体の影が大きくなって飛蚊症が発症します。

飛蚊症は、時間が経つにつれて感じなくなる場合がほとんどです。しかし、網膜剥離や他の病気が原因となって発症しているケースもあります。

手術をしてしばらく経過しても飛蚊症が治らない場合は、医師に相談しましょう。

まとめ

この記事では、白内障手術による視力回復の効果やレンズの種類、選び方を紹介しました。

白内障の手術は視力の回復が見込めますが、効果の大きさは使用するレンズによって異なります。自身の年齢や目の状況によって合うレンズは異なるため、担当医と相談しながらレンズを選択することが重要です。

また、白内障の手術が終わってから視力が安定するまでの期間は約1ヶ月ですが、目やレンズの状態によってはさらに時間がかかる場合があることも覚えておきましょう。

足立区の北あやせよつば眼科では、大学病院同等クラスの設備を備えて経験豊富な執刀医による白内障の手術が受けられます。また、視力回復や見やすさに関連のあるレンズも単焦点レンズ・多焦点レンズともに取り揃えており、ライフスタイルに合わせて提案しています。

足立区で白内障の治療を検討されている方は、ぜひ北あやせよつば眼科にご相談ください。

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ご予約がなくても診療は可能ですので、お気軽にご来院ください。

この記事の監修者
きたあやせよつば眼科 院長
玄 真

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院をはじめとした医療機関で研鑽を積み、眼科専門医を取得し、2015年に『北あやせよつば眼科』を開院しました。
日常的な目の不調から、レーザー白内障手術のような専門性の高い治療まで、幅広い診療を提供しています。0歳の乳児からご高齢の方まで対応し、現在では遠方からも多くの患者様にご来院いただいています。
地域の皆さまが安心して質の高い医療を受けられるよう、一人ひとりの「目のかかりつけ医」として、誠実に診療にあたってまいります。

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