先天性白内障とはどのような疾患か症状・原因・治療法・予防方法
子供の目に不安を抱えている方、ご自身が先天性白内障の方に向けて、先天性白内障とはどのような疾患であるか、症状・原因・治療法・予防法を解説します。
白内障で子供のころに手術をした経験を持つ方は多いものです。
しかしその後の視力が回復しないことも少なくなく、視力の低さなどに悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
「今からでも視力回復手術を受けられないか?」と悩む方も少なくありません。
そこで今回は、先天性白内障とはどのような疾患か、症状や原因、予防法とともに治療法も解説します。
幼い頃の白内障で今も困っている方や、子供の目に濁りがある気がすると悩んでいる方はぜひご参考ください。
先天性白内障について、幅広く知っていただけるはずです。

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院をはじめとした医療機関で研鑽を積み、眼科専門医を取得し、2015年に『北あやせよつば眼科』を開院しました。
日常的な目の不調から、レーザー白内障手術のような専門性の高い治療まで、幅広い診療を提供しています。0歳の乳児からご高齢の方まで対応し、現在では遠方からも多くの患者様にご来院いただいています。
地域の皆さまが安心して質の高い医療を受けられるよう、一人ひとりの「目のかかりつけ医」として、誠実に診療にあたってまいります。
先天性白内障とは
先天性白内障とは、生後まもない子供に見られる眼疾患です。
生まれたとき、または生まれてからすぐに黒目に濁りが生じ、白内障の症状が現れ始めます。
10,000人に3人の割合で見られ、そのうちの25%が遺伝性とされる疾患です。

先天性白内障の症状
それでは先天性白内障ではどのような症状が現れるのか見ていきましょう。

症状1:黒目の濁り
基本症状は黒目の濁りです。 白内障とは水晶体が白く濁る疾患のことを指します。
そのため黒目が白く濁っているように見えます。
症状2:斜視・眼球の揺れ
斜視や眼球の揺れが現れることも、先天性白内障の症状のひとつです。 しかし生まれたときに斜視などの症状が現れることはありません。
斜視は片目のみに白内障がある場合、生後3~4ヵ月ごろに見られる症状です。
眼球の揺れは斜視とは異なり、両目に白内障が、見られる場合、生後10週以降で現れてきます。
斜視や眼球の揺れは視力の低下につながるため、早期の対応が大切です。
症状3:弱視
白内障を発症したことにより、弱視が引き起こされることもあります。
白内障自体の症状ではなく、白内障により目への刺激が遮断された結果として弱視が引き起こされます。
乳幼児期の子供は、視覚刺激を受けることにより視力が発達するものです。
しかし濁りがあると、適切な視覚刺激を受けられず視力が発達しません。
そのため早めに適切な処置を受けられれば、弱視が現れないことも多いでしょう。
先天性白内障の原因
先天性白内障の原因はさまざまですが、主に次のようなことが原因となります。

原因1:遺伝
先天性白内障発症の25%は遺伝が原因だとされています。
家族に先天性白内障を患った方がいれば発症率が高まると考えられています。
原因となる遺伝子は複数あり、一概には言えません。
しかし白内障のみを発症した場合には、約50%の割合で「クリスタリン遺伝子」の変異が原因と報告されています。
また染色体異常により発症するケースも見られます。 以上のように遺伝が原因で発症されることは少なくありません。
原因2:子宮内感染
子宮内感染が原因となることもあります。
母体内での風疹・トキソプラズマ・サイトメガロウイルスなどへの感染が主な原因です。
妊娠3ヵ月までにウイルスに感染した場合は、高度な白内障になる可能性が高いとされています。
原因3:その他疾患
その他の疾患が原因で先天性白内障が引き起こされるケースです。
ガラクトース血症などの代謝性疾患や、その他の全身疾患、遺伝性症候群と合併して発症することがあります。
先天性白内障の治療法
先天性白内障の治療法は、主に手術と矯正治療の3種類です。 ただし合併する疾患や異常がある場合は、それぞれの症状や状態により治療法が変わることもあります。

治療法1:手術
先天性白内障の治療法として最も多く採用されるのが手術です。 手術では白く濁った水晶体と硝子体の一部を取り除きます。 白い濁りが水晶体全体に広がっている場合はできる限り早めの対処が必要で、生後2~3週間での手術が理想的です。
最近ではメスによる切開手術だけでなく、レーザー白内障治療も選択肢のひとつとなっています。 レーザー白内障治療はメスを使わず、レーザーにて切開創を作るため精度が高く低侵襲な治療法です。 レーザー白内障手術について詳細はこちら。
治療法2:矯正治療
手術後は矯正治療により視力の矯正を行います。
乳幼児の白内障では水晶体の代わりとなる眼内レンズを移植しません。
乳幼児期は視力が発達段階にあり、今後、視力が変わる可能性が高いためです。
そのためできる限り良い視力を得られるように、コンタクトレンズや無水晶体用メガネによる矯正治療が必須となります。
治療法3:眼内レンズ移植手術
2歳ごろから症状が現れだしたケースでは、水晶体除去とともに眼内レンズの移植手術も行えます。
ただし眼内レンズ移植手術は合併症などのリスクも考えられる治療法です。
成長による視力の変化で、レンズの度数が合わなくなり再度手術が必要となることもあります。
リスクを把握してから判断してください。
先天性白内障の予防
予防をするには次のようなことを十分に意識しましょう。

予防法1:子宮内感染を防ぐ
まず先天性白内障の原因となる、子宮内感染を防ぐようにしてください。
手洗いはさまざまなウイルスや病原体への感染予防に役立つ、簡単で効果的な予防法です。
肉類は十分に加熱してから食べるようにすると、トキソプラズマなどの病原体への感染リスクが低下します。
妊娠中は避妊具を正しく用いるとさらに感染リスクを抑えられるでしょう。
予防法2:子供の目に異常があったらすぐに眼科を受診する
子供の目に異常があったら、すぐに眼科を受診することも大切です。 異常が見つかってからでは予防はできません。
しかし放置すると弱視へと発展してしまうことが多いものです。
そのためできる限り早めに眼科を受診し治療を始めることが、その後の視力発達に大きく影響します。
若年層でも発症するアトピー性白内障
この記事では生まれたての子供に見られる先天性白内障について紹介しましたが、若年層に発症しやすい白内障としてアトピー性白内障が挙げられます。
アトピー性白内障について紹介している記事もございますので、気になっている方はぜひご覧ください。
アトピー性白内障の原因と治療法・予防法
先天性白内障は早めの治療が重要

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、先天性白内障とはどのような疾患であるか、原因・症状・治療法・予防法とともにご理解いただけたと思います。
乳幼児の白内障は早期の治療が大切です。 子供の目に違和感があるなら、すぐに眼科を受診して治療を始めてください。
北あやせよつば眼科では、患者様一人ひとりに寄り添ったレーザー白内障手術を実施しています。ぜひ目の痛みについてご相談ください。
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ご予約がなくても診療は可能ですので、お気軽にご来院ください。

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院をはじめとした医療機関で研鑽を積み、眼科専門医を取得し、2015年に『北あやせよつば眼科』を開院しました。
日常的な目の不調から、レーザー白内障手術のような専門性の高い治療まで、幅広い診療を提供しています。0歳の乳児からご高齢の方まで対応し、現在では遠方からも多くの患者様にご来院いただいています。
地域の皆さまが安心して質の高い医療を受けられるよう、一人ひとりの「目のかかりつけ医」として、誠実に診療にあたってまいります。