白内障手術

小児近視治療

レッドライト治療法

レッドライト療法とは

近年注目を集める近視治療法

レッドライト治療法(Repeated Low-Level Red-Light therapy)とはRLRL療法とも呼ばれ、近年、近視研究者の関心を最も集めている治療方法です。2014年に中国において長波長の650nmの赤色光が、過剰な眼軸延長を抑制する効果を有することが発見されました。 以降、中国国内では、このレッドライトに対する人の近視進行予防効果の報告が蓄積され、2021年にアメリカ眼科学会雑誌においてレッドライト治療法の近視進行予防効果が発表されたことで、世界中で大きな話題となっている治療法です。

療法はシンプルで、3分間の治療を1日2回、週5日照射します。専用の装置Eyerising(アイライジング)を使用した臨床試験で、近視進行予防効果は約90%(87.7%)の治療効果を得られています。

子どもの近視抑制

近視は世界で最も一般的な眼疾患であり、2050年には全世界ので約50億人(49.8%)が近視、約10憶人が強度近視になると予想されています。
小児近視は時間の経過とともに進行しますが、診断されたら早い段階で進行を遅らせることが重要です。小児近視治療法としては、眼鏡、多焦点ソフトコンタクトレンズ、オルソケラトロジー、低濃度アトロピン点眼がありますが、現在の近視治療は自己管理が可能になる年齢まで使用できないものが多く、子供、特に幼い子供にとって常に有効であるとは限りません。
これらの自己管理が必要な治療法に加え、光をのぞき込むだけ、という療法が追加されたことで近視治療の選択肢が大幅に広がっています。

Eyerising(アイライジング)とは

Eyerising(アイライジング)近視治療用機器

Eyerising(アイライジング)近視治療用機器はオーストラリアのEyerising International社が開発した近視進行抑制治療であるレッドライト治療法に使用する機器です。特許を取得した反復低レベル赤色光を提供し、眼底の血流を穏やかに刺激して強膜の低酸素状態を軽減し、近視の原因となる眼軸の伸長を制御します。

Eyerising(アイライジング)による治療法

3分間の治療を1日2回、週5日照射します。
※1回の照射ごとに4時間以上間隔を空けて行う必要があり、Eyerising(アイライジング)は規定の照射時間、回数を超える使用はできない設定になっています。

Eyerising(アイライジング)近視治療用機器の画像

Eyerising(アイライジング)によるレッドライト治療法が機能する仕組みの説明画像

診療について

適応条件

年齢6~16歳の近視と診断された小児

禁忌

片眼または両眼に以下のある方
・斜視
・視機能異常
・眼球異常
・網膜剥離、若年性黄斑変性症、未熟児網膜症、網膜芽細胞腫などの網膜疾患
・光過敏症
・遺伝性網脈絡膜疾患の家族歴がある
・瞳孔散大(散瞳)の小児、またはアトロピン、シクロペントラート、トロピカミドなどの瞳孔散大を引き起こす可能性のある薬剤を投与した後
※他の近視治療と併用できないものがあります。他院で近視治療を受けられている、または受ける場合には事前にご相談ください。
※低濃度アトロピン点眼治療との併用はできません。レッドライト治療法を開始する2週間前に、アトロピンの使用を中止するようにしてください。
※オルソケラトロジーとの併用は可能です。

副作用

照射後の短期的な副作用として、まぶしさ、閃光盲、残像が生じる場合があります。残像がある場合は3分間目を閉じ、5分以上症状が続くことが3回以上確認された場合は、本機器の使用を中止し眼科医に相談してください。
治療中に光過敏症、眼刺激、眼熱傷などの不快感が生じた場合は、本デバイスの使用を中止し、当院にご相談ください。
2024年1月現在、1例の実臨床下において、本治療によって網膜障害と視力低下をきたした症例の報告があります。光治療に対する過敏症がある場合に起こる稀な有害事象と推察され、治療中止数か月後には症状が回復したと報告されています。自覚症状として「治療後に5分以上持続する羞明や残像」の訴えがあったため、治療後に同様の症状が3回以上確認された場合は機器の使用を中止し、当院にご相談ください。

承認と規制状況

日本国内の承認状況

2024年1月1日現在、日本国内では未承認の医療機器です。日本では東京医科歯科大学病院が臨床研究を行っています。

国際的な承認と規制状況

レッドライト治療法を行う「Eyerising 近視治療用機器」は、ヨーロッパとオーストラレーシア(オーストラリアと南太平洋地域)の30カ国以上における医療規制当局の定める品質、安全性、有効性の基準を満たしていると認められています。

また、以下の規制当局から公式に医療機器としての認可を受けています:
・欧州連合(EU)のCE※1
・オーストラリアのTGA※2
・ニュージーランドのMedsafe※3
・イギリスのMHRA※4

今後も他の国々からの規制認可を近い将来に取得する予定です。また、Eyerising Internationalは、国際基準であるISO 13485:2016に準拠していることが、公認機関BSIによって認証されています。

※1 EUの「CE」マークは「Conformité Européenne」の略で、フランス語で「ヨーロッパ共同体適合」という意味です。このマークは、EU加盟国の定める安全、健康、環境保護の基準に準拠していることを示すもので、EU加盟国の基準を満たすものに付けられる基準適合マークです。
※2 オーストラリアのTGA(Therapeutic Goods Administration)は、オーストラリア政府の保健省の一部門で、医薬品、医療機器、血液製品、およびその他の治療商品の規制を担当しています。TGAの主な役割は、これらの製品がオーストラリアで販売および使用されるための安全性、品質、有効性の基準を満たしていることを保証し、市場の製品について安全性に関するデータを監視し、必要に応じて規制措置を行う機関です。
※3 ニュージーランドのMedsafe(Medicines and Medical Devices Safety Authority)は、ニュージーランド保健省の一部で、医薬品と医療機器の安全性と品質を規制および監督する機関です。Medsafeの主な役割は、ニュージーランドの市民が使用する医薬品と医療機器において、安全性、品質、有効性についての評価と承認を行い、適切に管理されていることを保証しています。また、承認された場合も安全性を継続的に監視し、問題が発生した場合には公衆に警告し、必要な措置を講じます。
※4 イギリスのMHRA(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)は、医薬品、医療機器、血液製品を含む医療製品の規制を管轄する政府機関です。主にイギリスにおけるこれらの製品の安全性、品質、および効果を保証するため、新しい医薬品や医療機器が市場に出る前に、それらの安全性、品質、および有効性を評価し、承認します。また、市場に出回っている製品の安全性を継続的に監視します。

レッドライト治療法に関するよくある質問

子供は何年間この機器を使用する必要がありますか?
近視治療の目標は、近視の進行(眼軸長の伸び)を制御または安定させ、強度近視への進行を防ぐことです。そのため、機器の使用期間はお子様の年齢によって異なります。幼い子供の場合は、長期間のレッドライト治療法が必要になる場合があります。十代の若者の場合はさらに短くなります。大人になるにつれて、近視の進行も遅くなりますので、まずは2年間の治療を開始し、その後お子様にさらなる治療が必要かどうかを定期検査の上で判断します。。
子供が治療をやめたらどうなりますか?
レッドライト治療法のために使用している機器の使用を中止したら、近視の進行確認のため、定期的に(6か月ごとを推奨)お子様の目の検査を受けることをお勧めします。2024年1月現在の臨床試験の結果から、中止した後の近視の進行はお子様の年齢、ライフスタイル、その他のさまざまな要因によって異なっています。定期健康診断の結果に基づいて、近視の進行を予防するためにお子様にはより長期間のレッドライト治療法または低用量アトロピンなどの他の治療が必要になる場合があります。
機器を誤って故障させてしまった場合、どうなりますか?
万一機器が故障した場合、まずは当院までお問い合わせください。
機器は毎日同じ時間に使用する必要がありますか?また、毎週同じ曜日に使用する必要がありますか?
週の5日間、日中いつでもデバイスを使用できます。ただし、1回の照射後は最低4時間の間隔を空けて使用してください。また、月曜日から金曜日までデバイスを使用し、週末は休むことをお勧めします。週5日間のみ治療を行うスケジュールのため、平日は学校前に1回、放課後に1回治療を行い、土日は治療を休むといった形で習慣を形成することができます。

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