リジュセアⓇミニ点眼液0.025%

屋外活動の減少とデジタルデバイスの急速な普及により、子どもたちが目を酷使する機会が増えています。
それにより、近年、子どもたちの近視が進行する傾向にあります。

近視は眼軸長(眼球の長さ)が伸びることで進行しますが、一度伸びた眼軸長は元に戻せないため、近視症状の進行が出始める小児期のうちに予防を行い、進行を抑止するのが理想です。

そこで先日、日本で初めての近視の進行抑制を目的とした点眼剤「リジュセアⓇミニ点眼薬」をご紹介します。

監修者:玄 真
きたあやせよつば眼科 院長
玄 真

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院をはじめとした医療機関で研鑽を積み、眼科専門医を取得し、2015年に『北あやせよつば眼科』を開院しました。
日常的な目の不調から、レーザー白内障手術のような専門性の高い治療まで、幅広い診療を提供しています。0歳の乳児からご高齢の方まで対応し、現在では遠方からも多くの患者様にご来院いただいています。
地域の皆さまが安心して質の高い医療を受けられるよう、一人ひとりの「目のかかりつけ医」として、誠実に診療にあたってまいります。

目次

リジュセアとは

リジュセアとは

参天製薬とシンガポール国立眼科・視覚研究所であるシンガポールアイリサーチインスティテュートにより共同開発され、2024年12月に厚生労働省より製造販売が承認された新しい点眼薬が「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」です。

このほど(2025年4月21日)、日本で初めての近視の進行抑制を目的とした点眼剤として、参天製薬が発売を開始しました。

治療対象の方

治療対象となるのは軽度から中等度程度の近視(-6D以下)の児童(6歳〜12歳)が対象となり、医師により適応と判断され、治療プログラムに従った通院や定期検診が可能な方に限られます。

そもそも近視とは

そもそも近視とは

近視のほとんどは眼球が前後(楕円形)に伸びること(眼軸長)で起こります
目に入ってきた光線は、角膜と水晶体で屈折して網膜に像を結ぶのですが、眼軸長になると、光のピントが合う位置が網膜より前になっている状態となるため、うまく像を結べなくなり、近視と診断されます。

近視の程度は等価球面屈折異常の値(単位:ジオプトリー(D))で表され、日本近視学会による分類では、-0.5D以下を近視、-6.0D以下を強度近視と定義されています。

世界的に見て近視は増加傾向にあり、日本も例外ではありません。
その原因として、子どもたちの屋外活動時間の減少と、読書、勉強、デジタル機器の使用等、近くを長時間見る作業の増加とが組み合わさったライフスタイルの変化が大きいと言われています。

近視抑制の重要性

近くを長時間みる作業が習慣化してしまうと近視になりやすく、眼軸長は一度伸びてしまうと元には戻すことができません
たかが近視と侮ることはとても危険で、最近の調査では、近視が原因で緑内障網膜剥離などの眼の病気に将来かかるリスクが上昇することが明らかになっています。

眼球は体が成長する時期に伸びることが多く、低年齢の頃に速く伸びる可能性があるため、小児期に眼軸長の伸びを抑えて、近視が強くなることを避ける(=近視の進行を抑制する)ことはとても重要だと言えるのです。

リジュセアⓇミニ点眼液の効果

リジュセアⓇミニ点眼液の効果

小児期の近視は、長時間近くを見続けることなどが原因で、目の奥行き(眼軸長)が伸びてしまい、ピントが合わなくなることによって引き起こされることがほとんどです。
リジュセアミニ点眼薬は、眼の奥行きを伸ばす原因となる「ムスカリン受容体」という部分に働きかけ、眼軸の伸びを抑えることで、近視の進行を抑制する効果が期待されています。

リジュセアⓇミニ点眼液の特徴

リジュセアⓇミニ点眼液の最大の特徴は近視の進行を抑える」ことと「防腐剤フリーでも長期保存が可能な使い捨てパッケージ」であることです。

点眼薬に含まれる防腐剤は短期間の使用なら問題はないのですが、小児期から長期にわたって使用することを考えると角膜に影響が出る可能性があり、軽視できません。

参天製薬が製造技術を駆使して、1回分ずつパッケージされて使い捨てできる容器を開発し、防腐剤フリーが実現できたおかげでそうしたリスクを回避することができました。

治療時の注意点・副作用

主な副作用として、一部の方に羞明(まぶしさ)、霧視(かすみ目)、調節障害(近くが見えにくい)などの症状が出ることが報告されていますが、いずれも重篤なケースではありません
これらはリジュセアⓇミニ点眼液の主成分であるアトロピンによる一時的な反応(一時的に瞳孔が大きくなる)と考えられ、通常、点眼時間の調整によって症状が軽減できるものです。
調整してもなお眩しさやピントの合わない症状が続く場合は医師にご相談ください。

費用

初回 診察・検査費用(2,000円)
点眼薬費用(4,380円/30日分)
2回目 (初回から1ヶ月後) 診察・検査費用(2,000円)
点眼薬費用(4,380円/30日分)×3ヶ月分
3回目 (初回から4ヶ月後) 診察・検査費用(2,000円)
点眼薬費用(4,380円/30日分)×️3ヶ月分

治療の流れ

治療の流れ

STEP
01

初診時検査・診察(保険適応)

検査を行い近視の有無を確認し、点眼するかどうかを決める診察を行います。
必要に応じて、調節麻痺薬での屈折検査や眼鏡処方なども行います。
点眼を決定した後の治療について(以下)は自由診療となります。

STEP
02

治療開始

点眼薬の説明ならびに同意確認の上、リジュセア®ミニ点眼液を1ヶ月分(1箱)処方します。

STEP
03

1ヶ月検診

検査および診察にて継続可能か判断し、問題がなければ3ヶ月分の点眼薬を処方します。

STEP
04

以後、3ヶ月おきに検診

検査および診察上で問題がなければ、以降は3ヶ月毎の定期検査を行なっていきます。

費用

「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」は薬価基準未収載医薬品のため、健康保険等の公的医療保険の給付対象外(自由診療)となります。
リジュセア®処方と同日に保険診療を行うことは可能ですが、点眼治療継続中の近視病名に関わる診療(眼鏡処方など)は全て自由診療となりますのでご注意ください。

よくある質問

よくある質問と回答をまとめました。参考にしてください。

A. リジュセア®ミニ点眼液0.025%は、2024年12月に「近視進行抑制」の効能で厚生労働省の承認を受けましたが、薬価基準に収載されていないため、 健康保険の適用外となっています。
そのため、診察・検査・薬剤費用などすべてが自由診療(全額自己負担)となります。
A. 就寝前に点眼しても、翌日までまぶしく見えることがあります。
見えにくさを感じる時は、落下の恐れがある遊具、自転車やキックボードなどは使用しないようにしてください。
また、必要に応じてサングラスをかけるなど、太陽光や強い光を直接見ないようにしてください。
A. 近視の進行は成長期に著しいため、一般的には10代後半まで治療を継続することが推奨されています。
治療期間は個々の進行状況や医師の判断により異なりますが、まずは2年間点眼していただき、効果を見るのが望ましいと考えます。
症状が緩和しないからといって医師の指示なしに点眼を止めないでください。
点眼を中止すると近視が急に進む(リバウンド)が生じる可能性があります。
A. 可能です。
最大限の効果を発揮するには早い段階での治療が望ましいですが、大人(18歳)になってからも近視進行するケースも報告されておりますので適応となる場合もございます。
A. 薬剤の効果には個人差があり、すべての患者さんに同じような効果が得られるわけではありません。
あくまでもリジュセア®ミニ点眼液は近視の進行を抑制するための治療であり、進んだ近視を弱めたり、視力を回復させたりすることは出来ません。
治療効果が不十分な場合には、他の治療法との併用や治療方針の見直しが検討されます。
A. 今のところそのような報告や事例はありません。
A. 可能です。
コンタクトレンズを外した後に点眼してください。

CONTACT ご予約・お問い合わせ案内

きたあやせよつば眼科では、WEBやLINEからのご予約を受け付けております。
事前にご予約いただくことで、当日の待ち時間を短縮し、スムーズに診療を受けていただけます。
ご予約がなくても診療は可能ですので、お気軽にご来院ください。

この記事の監修者
きたあやせよつば眼科 院長
玄 真

順天堂大学医学部を卒業後、大学病院をはじめとした医療機関で研鑽を積み、眼科専門医を取得し、2015年に『北あやせよつば眼科』を開院しました。
日常的な目の不調から、レーザー白内障手術のような専門性の高い治療まで、幅広い診療を提供しています。0歳の乳児からご高齢の方まで対応し、現在では遠方からも多くの患者様にご来院いただいています。
地域の皆さまが安心して質の高い医療を受けられるよう、一人ひとりの「目のかかりつけ医」として、誠実に診療にあたってまいります。

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