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糖尿病

糖尿病とは

糖尿病は日本国内で可能性のある人が740万人と言われています。糖尿病の初期には自覚症状がほとんどないために軽視されがちですが、高血糖が続くことで、全身の血管が障害され、様々な合併症を起こします。

特に網膜症、神経障害、腎症は三大合併症といわれ、多くみられる合併症です。 合併症が進行すると深刻な状況に陥ってしまうこともあり、糖尿病は合併症が怖い病気です。

経済的な側面でみると、ある調査では血糖値等の代謝系の健診結果で異常があった群では、10年以内に43%が糖尿病になっており、異常がなかった人が7%だったのに比べ約6倍の開きがあることも判明しております。さらに、4つの検査のすべてに異常が見つかった人は、「異常なし」の人に比べ10年後の医療費が3倍以上かかっていたとのことです。

さらに、糖尿病合併症のある患者様とそうでない患者様の医療費を比べたところ、5年前はほぼ同額であったのが、年々格差が広がり現在の医療費では10万円以上の差が生じていたそうです。

糖尿病とは

糖尿病の治療

食事療法

食事の摂取カロリーを適切にする。
適量は標準体重=【身長(m)×身長(m)×22】×(25~35)

軽い仕事  :25~30(kcal)
普通の仕事 :30~35(kcal)
重い仕事  :35~40(kcal)

運動療法

1日15~30分間、1日2回のウォーキングを週3回以上すると良いです。日常生活で体を動かす量を増やすだけで長期続ければ効果があります。

薬物療法

内服薬、インスリン

糖尿病と合併症

糖尿病は体のあちこちに様々な合併症を引き起こします。目も例外ではなく、網膜症の他・白内障・緑内障などを引き起こし、進行すると失明してしまうこともあります。

後天性の失明原因として年間約3000人の方が失明しています。

糖尿病網膜症は全糖尿病患者の30~60%の方が発症すると言われ、良性の単純型、悪性の増殖型、両型の中間タイプの前増殖型と、三病型に分かれます。
良性の単純型は内科的に糖のコントロールが上手くいけば、網膜症がなくなるもので、眼科的には経過観察となります。

増殖型は新生血管という異常な血管が既に出来上がってしまったものでレーザー治療や手術をしなければ、失明してしまうものです。

前増殖型は場合によりレーザー治療になります。当院でも糖尿病網膜症に対してレーザー治療を行っています。レーザー治療が時として必要となる、前増殖型でも視力低下など自覚症状が乏しいことがあります。それ故、自覚症状がなくても、定期的な眼科検診が必要です。

視力・眼圧などの一般検査の他、必要に応じて詳しい眼底検査を行っています。眼底検査は、瞳孔を開く目薬を点眼しますので、個人差はありますが、平均5時間ほど焦点が合わなくなったり、光をまぶしく感じたりします。

車や自転車での来院はお控え下さい。

糖尿病の全身合併症

国内の調査では糖尿病患者の37%で神経障害、23%で網膜症、14%で腎症が認められました。

白内障とは

糖尿病の眼合併症

高血糖による末梢神経障害および代謝異常などにより、糖尿病網膜症の他にも様々な合併症が起こります。失明につながる白内障が20~60%、血管新生緑内障3~5%、他に、黄斑症10~20%、屈折異常・調節異常2~8%、角膜障害10~70%、虹彩・毛様体炎1~5%、外眼筋麻痺0.2~1.0%、虚血性視神経症0.2~0.5%等があります。

糖尿病の眼合併症

糖尿病症例

糖尿病症例1 糖尿病症例2 糖尿病症例3

症例1:単純糖尿病網膜症(SDR)
網膜血管が瘤状に膨らんでいる部分や、点状出血、斑状出血が見られます。網膜浮腫が見られることがあります。

症例2:増殖前糖尿病網膜症(prePDR)
血管障害が広く進行し、虚血状態が悪化しています。出血やこ硬性白斑が見られます。

症例3:増殖糖尿病網膜症(PDR)
網膜の出血や白斑に加えて新生血管や増殖膜ができ、硝子体出血もみられます。ひどい場合、失明に至ります。

糖尿病網膜症の治療法

血糖コントロールがまず大前提であり、内科医師の指導下、食事、運動療法を守って下さい。自分が1日何カロリー食べられるか、自分の血糖値の値がいくらか、意識することが大切です。血糖値については、HbA1c(食事の前後に関わらず1~2ヶ月前の血糖の状態を推定できる指標)を7.4%(NGSP)以下位にすると網膜症の発症、進行を予防しやすいとされています。7.4%から1%上がるごとに糖尿病網膜症発症・進行リスクは1.6倍になります。例えばHbA1c8.4% HbA1c9.4%だとHbA1c7.4%の患者さんに比べ2.6倍、4.1倍糖尿病網膜症が悪くなります。高血糖のみならず低血糖が起こりやすいと糖尿病網膜症は悪化します。糖尿病網膜症は網膜の炎症であることは常識であり、糖尿病網膜症は一種の例えて言うなら火事みたいなものです。ボヤ程度で収まるものもあれば全焼するものまで様々ですが、ボヤなら軽度の障害ですが全焼というのは眼では失明です。そのような目の事を眼科医はburnout diabetic retinopathy(燃え尽きた糖尿病網膜症)と呼んでいます。
血糖のコントロールの良し悪しは、火事が空気の乾燥など天気に影響受けるのと同じです。大切な財産である目の健康を守りましょう。
その為には患者様ご自身が信頼できて熱心な糖尿病の主治医を持ちその指導に従うことが何よりも大切です。

糖尿病網膜症の治療

1.内服・点眼

止血剤(カルバゾクロム)等
循環改善剤(カリジノゲナーゼ等)、血管強化剤(アスコルビン酸)、神経保護剤(メコバラミン)
等を糖尿病網膜症の軽症例には効果があります。また糖尿病網膜症の炎症を抑えるため抗炎症剤の点眼の効果もあります。

2.レーザー光凝固術

通常は外来通院で行います。既に機能していない網膜へ光凝固することで、正常網膜への酸素などの必要物質の供給を増やし網膜の循環を良くします。更に新生血管と言われる眼底出血の大きな原因となる異常血管の発生を予防したり、すでに出現してしまったものを減らしたりすることを目的として行います。
この治療で更に網膜症が進展して失明に繋がることをかなりの頻度で減らせます。更に一部の網膜症では下がった視力の改善も期待できます。
施行医師は大学病院の勤務経験や、基幹病院の眼科責任者などでレーザー手術数多くの治療経験があり(数万件施行)自信を持っている治療方法の一つです。

※当院で施行できます

レーザー光凝固術

3.抗VEGF抗体硝子体注入

数年前から盛んに行われる治療法で、網膜症の失明原因の元凶である新生血管の消褪、縮小に有効で、糖尿病病網膜症で傷んだ血管からの病状を悪化させる物質の流出を減らします。治療効果が非常に高く、以前眼科医を震え上がらせていた糖尿病の血管新生緑内障もこの治療で劇的によくなるようになりました。
デメリットとしては眼内炎の、全身的副作用(血管循環障害)若干の可能性があること、治療費がかかることです。この治療法には健康保険が適用されますが
費用は70歳以上の方は、窓口での上限があり1割負担 8000円から12,000円  3割負担 20000円  それ以上は窓口負担はございません。
70歳未満の方(3割負担の方)35000円から約55,000円以下になります。

※当院で施行できます

4.マキュエイドテノンテノン嚢下(硝子体注入)

10年前から盛んに行われる治療法で、網膜症の視力低下の元凶である、糖尿病網膜症で傷んだ血管からの病状を悪化させる物質の流出を減らし網膜のむくみ(糖尿病黄斑浮腫)。治療効果が非常に高く、外来処置室などで気楽にすぐ行えること、処置後すぐから眼帯無しで帰宅でき、治療費も安価です。(1000円から2000円)。
デメリットとしては白内障、緑内障のリスクが少なからずあることです。

※当院で施行できます

5.硝子体手術

レーザー治療で網膜症の進行を予防できなかった場合や、すでに網膜症が進行して網膜剥離や硝子体出血が起こった場合に対して行われる治療です。

※当院で施行できます

硝子体手術