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涙は、涙腺という眼球の外上側にあるえだ豆大分泌腺で作られ、瞬きの度に目の表面を潤します。多くは、目頭にある「涙点」という小さい穴から口腔内に排出され、その一部は眼の表面から蒸発します(図1)。
涙は、油層、水層、ムチン層という3つの成分から成り立ち、正常眼ではそれぞれがうまく調和して涙の安定を維持しています。ドライアイの患者様は、この涙の状態が不安定になり、涙が蒸発しやすくなったり、眼表面に傷がつきやすくなります(図2)。
などが挙げられます。
涙の質や量の異常によって、目の乾き・痛み・疲れなどや視力低下をかんじるものをドライアイと言います。目が乾いて傷ができたり、アレルギー性結膜炎になりやすかったり、コンタクトレンズでトラブルを起こしやすくなります。現在、日本では約800~2,200万人ものドライアイの患者さんがいるといわれ、オフィスワーカーにおいては3人に1人がドライアイという報告もあり年々増加傾向にあります。
目の表面の『涙が出る』という症状も、常に流涙があれば、目から鼻へ涙が抜ける出口が詰まっているため(鼻涙管閉塞症)かもしれませんが、風に当たったときや、本やテレビを観ているときに涙が出るのは、ドライアイの症状です。最近は、パソコンやコンタクトレンズの普及、レーシック手術後など、ドライアイの方が急増しています。
以下自己チェックしてみてください
次の項目で該当する症状はいくつあるでしょうか?
10秒間チェック
10秒間瞬きをせずに目を開けていられますか?
軽症例では、潤いを持たせる点眼薬で自覚症状や多覚症状(黒目の傷など)することができます。人工涙液、ヒアルロン酸製剤、ムチンや水分を分泌促進する点眼薬(ジクアホソルナトリウム)、ムチンを産生する点眼薬(レパミピド)が用いられます。防腐剤の少ないものをこまめにするといいでしょう。 点眼薬ではありませんが、朝起きたときの眼の粘膜の状態を良好にする為保つために、眠る前に目の中に入れる眼軟膏が処方されることもあります。
涙の出口である涙点(上下にあり)に栓(涙点プラグ)をして、患者さん本人の生理的な涙を眼の中にためて起き易くする治療です。プラグの大きさや材質など、改良されてきています。コラーゲン製のものやシリコン製のものがあります。人工涙液では補えない、本来の涙の成分が補給できるので、高い効果が期待できます。
また、目を遠赤外線などであたためる「目の温熱療法」も有効な治療です。涙の有効成分である油分の涙への排出を助けてくれます。
当院の専用機器を使うと市販のホットマスクより遥かに有用です。
患者さんの血清(血液の一部)を薄めて点眼して治療することもあります。血清は成分が涙と似ていて、角結膜障害の治療に効果的です。重症な角膜障害をともなう重篤なドライアイの患者さんに大学などの施設が行っていることが多いのが現状ですが、自己の血液からの作られますので安全でもあり、ドライアイに苦しむ患者様に喜ばれております。
※当院では上記の1~4の治療が可能です。
血清点眼に関しては東京都内のうち21施設(10施設は大学病院)のうちの1施設(H29年5月現在)です。
参考※国内のドライアイ研究会加盟施設東京78施設(眼科)
症状を感じたら、眼科で検査を受けましょう。涙の量を量るシルマーテストや、涙の安定性、目の表面の角膜や結膜の状態をみます。保湿のための点眼(ヒアルロン酸入りの点眼など)のほか、近年では「涙点プラグ」という治療が保険適応となり、一般的になりつつあります。これは、涙の排出口となる目頭の涙点を小さなシリコーン製の栓でふさぐことで、涙を貯める治療です。目薬には涙と同様の成分は含まれませんので、自分の涙を貯めることは涙が減少しているタイプのドライアイには有効です。涙の安定性がわるい例でも、涙点プラグで一時的に涙を貯めることで安定性が改善されることもあります。
重篤なドライアイでは、自分の血液を採取してその血清を点眼する「血清点眼」の治療が行われております。
目の保湿を図るために、加湿器を用いたり、エアコンの設定を変えるなども有効です。市販のドライアイ専用眼鏡の使用やメガネの周りに覆いを付けることも目の周りの湿度を上げるのに有効です。
長時間のVDT作業(1日4時間以上は重症化しやすい)や運転では、瞬きの回数が減るのでドライアイ症状を悪化させます。適度の休みを取ることが目の健康に重要です。また、ドライアイを悪くさせる内服薬(抗コリン作用をもった安定剤やTS-1を代表とする経口抗がん剤など)可能な限り避けること、ドライアイの副作用を知ること、コンタクトレンズ装用(ソフトコンタクトの使用時間12時間以上)などを減らすことも一つの手です。