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硝子体手術

硝子体手術とは

硝子体は眼の器官の一つで、水晶体の後ろから網膜に達するまでの大部分を占めています。その中には生卵の白身のような透明なゼリー状のものが満たされています。
硝子体手術は、この硝子体という器官が炎症や出血などで濁って網膜にうまく光を届けられなくなったり、網膜に障害が起きた場合に行います。
最近では医療機器や技術の進歩によって、体にあまり負担をかけることなく手術を行うことができるようになりました。当院でもこうした医療機器や技術を取り入れ、体の負担が少ない安全な硝子体手術を患者様に提供しております。

硝子体手術とは

硝子体手術を受けることがすすめられるケース

眼の病気の種類や病状によりますが、早期発見・早期受診によって眼がより良好な機能を保っているうちに手術を受ければ、視力などの視機能を高い状態のまま残すことができます。
硝子体手術をできるだけ早く受けた方が良いと考えられる場合としては次の6つが挙げられます。

1.硝子体出血

硝子体出血は、硝子体の中に血液がたまり、網膜に光が届かなくなってものが見えなくなる病気です。初めからものが見えなくなるわけではなく、初期には黒い影が突然見えるようになるといった症状が現れます。
出血が起こる原因としては、①網膜裂孔の出現に伴うもの、②網膜動脈瘤の破裂、③糖尿病網膜症の悪化、④加齢黄斑変性などが多いですが出血により原因が分かりづらい場合があります。
この際に出血が引くのを待っていると、原因となった疾患が悪化することがあるため、手術でいちはやく出血を除去すること。手術後に見え方がどの程度改善するかは出血を起こす原因となった疾患によりさまざまですが、より早期に手術をするほうが予後は良好です。

2.黄斑円孔

黄斑は網膜の中心あたりにある物を見る細胞がたくさん集まっている場所のことを言います。黄斑円孔はこの黄斑の中心部分に穴が開いてしまう病気です。初期の場合には物の形が歪んで見えるなどの症状が現れますが、穴が開いてしまうとちょうど見たいところが見えなくなって著しく視力が低下します。
手術までの期間が長いほど穴を塞ぎづらくなり、せっかく手術を受けても視力を取り戻しにくくなります。
また、黄斑円孔の場合は手術の際に眼の中の水を抜いてそこにガスを置き換えるため、帰宅してからも数日はうつぶせの姿勢を保っていただきます。

3.黄斑前膜

黄斑前膜は、黄斑の上にセロハンのような膜ができる状態のことを言います。初期のうちはゆがみを自覚しないことが多いですが、進行してくると網膜が浮腫になったりシワが寄ってものが歪んで見えるようになります。一度形が変わってしまった網膜は元通りには戻らないため、気になる症状があったら受診して精密検査を受けることが勧められます。
網膜の変形が少ない早めの段階で手術を受ければ、悪化を防ぎ、より良好な視機能を残すことができます。

4.糖尿病網膜症

血糖コントロールが悪い状態が続くと網膜の血管がダメージを受けて出血したり、増殖組織という膜を作ったりします。これが網膜を引っ張り、網膜剥離を起こす場合があります。
手術の際には出血や増殖膜を取り除き、血液が行き届いていない網膜にレーザー光線を当てる網膜光凝固術を行って、黄斑部へ血液が十分に行き届くようにします。
なお、これらの症状が出てくるときにはかなり網膜症が悪化している可能性が高く、この状態から視力を改善させることが困難な場合もあります。したがって、糖尿病と診断されている方は、いつまでも良好な視力を保ち続けるために糖尿病網膜症が悪化していないかどうかを定期受診で確認するようにしましょう。

5.網膜剥離

網膜剥離は網膜が裂けたり、剥がれたりして視力が低下する病気で、治療が早いほど視力への影響が少なく済みます。
手術では網膜を引っ張っている硝子体を除去し、原因となっている部分にレーザーを行います。その後、除去した硝子体の部分を膨張するガスやシリコンオイルに置き換えます。
手術後は、自宅に戻ってからも医師の指示した姿勢で過ごすことが必要です。
もし、目の前を蚊のような黒く動くものがチラチラ見える、眼の中でピカピカと光っているように見える、見ているものの一部が見えない、見たいものがはっきりみえない、といった症状があったら早めに受診してください。

6.白内障の眼内レンズ再固定

眼内レンズを入れた眼に何らかの衝撃を受けたり、白内障手術を受けてから何十年も経過してレンズを支える組織が弱くなった場合に眼内レンズが扁位したり、落下することがあります。こうした場合、急に見えづらくなるという症状が現れます。視力を取り戻すためには硝子体手術によって落下したレンズを拾い上げ、付け直すことが必要です。

当院の硝子体手術の特徴

27ゲージシステム(CONSTELLATION® ビジョンシステム、日本アルコン株式会社)



硝子体手術では白眼の部分に小さな穴を3か所開けますが、当院では現時点において最小の切開で硝子体手術を行うことができる「27ゲージシステム」を用いています。
27ゲージとは手術の際に眼に開ける穴の大きさのことを示しており、27ゲージはおよそ0.4㎜です。
これまでは25ゲージシステムを用い、0.5㎜(=25ゲージ)の穴を開けて手術を行っていましたが、27ゲージシステムではより小さな切開での手術が可能です。そのため、従来の方法に比べて手術を受ける方の眼やお体への負担が少なくて済み、しかもより安全・安心な手術をご提供できるようになりました。




当院の硝子体手術の特徴

27ゲージシステムのポイント





眼底観察システム(Resight®、ZEISS)



従来のシステムでは眼底の一部しか観察できませんでした。眼底観察システム「Resight ®」では、より広範囲の観察が可能です。
当システムを用いると眼底全体の状態を把握しながら硝子体手術が可能なため、より安全で効率的な医療の提供ができるようになりました。

眼底観察システム(Resight®、ZEISS)

白内障手術における合併症にワンストップで対応

白内障手術の合併症として、まれに破嚢(水晶体核が眼の奥の網膜上に落ちてしまうこと)、水晶体核の落下(水晶体の袋が破れること)が起きることがあります。
手術中にこうした合併症が起きた場合、硝子体手術に対応していない施設では、他の医療機関で改めて手術を受け直していただく必要がありますが、当院では硝子体手術の経験豊富な医師がすぐに対応できる体制が整っています。そのため、万が一合併症が起きても当院において対応することが可能です。

27ゲージシステムを用いた硝子体手術の流れ

1.手術室で眼の消毒を行い、麻酔をかけます。



2.眼の部分に小さな穴を3か所開けます。それぞれの穴には役割があり、1つ目は手術中に眼の形を保つための液体を流し込むためのものです。2つ目は眼の中を見やすくするための照明を入れるためのもので、3つ目は硝子体を切除するカッターや、レーザー治療を行うための機械を通すためのものです。



3.硝子体を切除します。



4.取り除かれた硝子体の部分に、1つ目の穴から液体(潅流液)を入れて置き換えていきます。



5.病気の種類にあわせて網膜の処置を行います。病気の種類によっては液体ではなく、網膜を抑えるために空気、ガス、シリコンオイルを眼の中に入れる場合もあります。

27ゲージシステムを用いた硝子体手術の流れ

硝子体手術を受ける前から手術後までの流れ

手術を申し込んだ際に行う検査(血液検査など全身状態の検査)の結果から、手術に差し支えない状態かどうかを確認します。眼の検査では、手術に耐えられる眼かどうかを調べます。

1.診察

診察・検査によって硝子体の状態を調べたり、他の合併症がないかどうかを確認します。
日帰り手術が適応可能な場合は、手術説明の日程を決めます。

2.手術説明

検査の結果等により、問題なく手術が行えると診断されたら硝子体手術に関する具体的な説明を行います。その後、手術日を決めていきます。

3.手術当日

手術当日は瞳孔を広げるための目薬をしてから手術室に入っていただき、眼のまわりの消毒を行います。顕微鏡の光で始めはまぶしいですが次第に慣れてきます。目薬による麻酔(点眼麻酔)の後、手術を行います。
なお、手術を受ける人自身が車を運転して来院するのは避けてください。

4.手術後(当日)

手術後は30分ほど安静にします。
その後、日常生活で注意する点などの説明があります。
問題がなければ手術を行った方の眼に眼帯をし、うつむいた姿勢で帰宅していただきます。さらに自宅でもうつぶせの姿勢を保っていただきます。
手術から次の診察の間まで気を付けたいのは「眼内炎」です。眼内炎予防のための目薬と飲み薬が処方されるので指示にしたがって使用します。また、目を強くこすったりしないようにしましょう。

5.手術後の通院

翌日は受診していただき、眼帯を外して眼の状態を確認します。
その後は、定期的に通院していただき、術後の経過をみていきます。

硝子体手術に関するよくあるご質問

術後は普通の生活ができますか?
術後の視力回復には個人差があります。手術後1週間以内までは、閉じきっていない傷口から細菌が入り、感染症(術後眼内炎)になる可能性があるため、眼に水が入るような作業は避けてください。一般的には手術後2週間以降には、入浴も含めて普通の生活に戻れます。
いつ頃からよく見えるようになりますか?
手術を行うことになった疾患の種類によって手術後の見え方はさまざまですが、約1~2週間くらいで視力は徐々に改善することが多いです。
手術は痛くないのですか?
当院では点眼麻酔(点眼薬による麻酔)を行い、点眼麻酔が十分に効いた後にほかの麻酔(テノン嚢下麻酔、球後麻酔)を疾患に応じて使い分けています。麻酔後はほとんど痛みを感じることはありません。
手術の時間はどのくらいですか?
手術に必要な時間は病気の種類によって異なりますが、目安として30分~1時間程度です。
手術は北あやせよつば眼科で受けることができますか?
手術は当院で受けて頂くことができます。
手術のときには入院が必要ですか?
当院の硝子体手術はすべて日帰り手術です。
手術後の点眼薬による治療はいつまで続くのですか?
当院では基本的に3カ月から6カ月くらいまで点眼薬による治療を続けて頂いています。点眼薬は1~3種類で、術後の状態に応じて回数や種類を徐々に少なくしていきます。

医療費控除と給付金について(先進医療給付金は不要)

民間保険会社による給付金

患者様が契約されている保険によって、手術給付金が支給される場合があります。契約内容などにより支給の有無や金額は変わってきますので、詳細については契約されている保険会社にご確認ください。

医療費控除

医療費控除の場合、確定申告後に税金が減額、または還付金を受け取ることができる制度であり、昨年1年間に支払った医療費が、本人と家族を合わせて10万円を超えた場合に申告できます。また、総所得金額等が200万円未満の場合、その5%を超えた医療費が対象になります。なお、医療機関への通院に使った交通費も申告できます。医療機関で支払った際の領収書だけでなく、交通費の領収書も大切に保管してください。

高額医療費負担

高額療養費制度は、1カ月の自己負担額が限度額を超えた際に、超えた分の還付を後日受けられるものです。世帯収入などにより限度額が異なり、自己負担額の上限は医療機関ごとに計算されるため注意が必要です。申請方法などについては、区役所や市町村役場などでご確認ください。単焦点眼内レンズの手術は片目ずつ行います。同じ月に片方ともう片方の手術を受けると、医療費の還付が受けられる可能性があるため、手術のスケジュール決定の際には考慮ください。ただし、多焦点眼内レンズの手術費用の自費分は、高額療養費の対象にならないのでご注意ください。