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近視(きんし)は、屈折異常のひとつで、眼球内に入ってきた平行な光が、調節力を働かせていない状態で、網膜上の正しい位置ではなく、もっと網膜の手前に焦点を結んでしまう状態です。目のピントを合わせる筋肉(毛様体筋)が働かない時にどこにピントが合うかにより近視の程度が変わります。
例えば眼科での視力検査の場合、検査器の場所は5m先に指標があるので1.0の裸眼視力ある方はー0.20以下の近視か正視、または遠視ということになります。
ー0.50Dの近視では2m先がー1.00Dの近視では1m先が-2.00Dの近視では50cmとなります。
正視とは∞無限の所に焦点が合っていると定義されています。
ピンと合わせる筋肉の毛様体筋は加齢や疲労によってピントを合わせずらくなり、70歳から75歳で調節力はなくなるとされています。
幼児から小学生(中学生も中には含まれる)ぐらいまでの調節力は大人と比較できないほど強く、通常成人では近くを見て毛様体筋を使った後遠くを見ることで元に戻りますが、幼児から小学生(中学生も中には含まれる)ぐらいは遠くみても遠点(ピント合わせする毛様体筋が完全に休んだ時に合うピント)まで戻らなくなっている状態を調節緊張(仮性近視)と呼びます。
調節緊張元来近視だけの子供だけのものと思われてきましたが、は本来遠視の多い幼児でもあり、ピントが遠くにうまく合わせられない子供たちが増えてきました。スマホ近視、スマホ老眼は実は同じ原理からなっています。
当院では調節緊張になっているお子様を中心に望遠訓練、点眼治療を行い、スマホ老眼といわれる40歳前の方には調節緊張を改善する器械の治療、点眼治療を行っています。
ただ、日常生活の生活習慣の変更だけでも効果ある方がいるのであくまでも希望者のみ行っています。
お子さんの場合、望遠訓練、点眼加療でよくならない場合に適切な時期に眼鏡などを処方しています。眼鏡の処方も遅すぎると反って近視の促進してしまうことがあるからです。同志社大学の竹林陸先生の研究によると、本来の近視の度数よりも-0.5D(眼鏡の度数にすると2段階)弱い目に合わせた眼鏡をつけている児童と、本来の近視の度数に合わせている児童を2年間追跡調査を行いました(平均年齢8.5歳)。その結果、弱い目に眼鏡を合わせた児童は、2年間で1.60D進行、一方、本来の近視の度数に合わせた児童は2年間で1.16D進行があったと報告されています。
弱い目に眼鏡を合わせた児童のほうが近視が進行していました。
真性近視の場合矯正方法は眼鏡、コンタクトレンズ、オルソK、LASIK手術(18歳以上に限る)等が挙げられます。
LASIK手術についてはの他院での手術の可否の相談になります。
近視進行抑制治療といっても、近視は遺伝的な要因が大きいからとあきらめている方もおられるかもしれません。
しかし、近視が進行中の一卵性双生児に片方の子に眼鏡、もう片方の子に近視の進行抑制治療として注目されているオルソケラトロジーを行ったところ、オルソケラトロジーを行った子供さんの近視の進行が抑制できたと報告されています。海外からの報告でも弱い目の児童のほうが年間0.15D近視が進行しているという結果でした。以上の結果から、近視の子供さんには弱すぎず強すぎず、本来の近視の度数に合わせるのがよいようです。
このように近視進行抑制治療を行うことで、遺伝や環境に影響されることなく近視の進行を抑えることができる世の中になってきました。
そこで当院でも行われていて、最新の近視進行抑制治療について述べます。従来の適正な眼鏡処方を別にした時の話です。
レッドライト治療法(Repeated Low-Level Red-Light therapy)とはRLRL療法とも呼ばれ、近年、近視研究者の関心を最も集めている治療方法です。2014年に中国において長波長の650nmの赤色光が、過剰な眼軸延長を抑制する効果を有することが発見されました。
以降、中国国内では、このレッドライトに対する人の近視進行予防効果の報告が蓄積され、2021年にアメリカ眼科学会雑誌においてレッドライト治療法の近視進行予防効果が発表されたことで、世界中で大きな話題となっている治療法です。
療法はシンプルで、3分間の治療を1日2回、週5日照射します。専用の装置Eyerising(アイライジング)を使用した臨床試験で、近視進行予防効果は約90%(87.7%)の治療効果を得られています。
近くを見るときの負担を軽減させるために、子供用にデザインされたMCレンズの入った眼鏡をさせた結果、MCレンズによる近視進行抑制は、科学的エビデンスによって効果が支持される数少ない近視進行抑制法の一つです。科学的医療を実践する情報インフラとして有名なコクラン・ライブラリーによれば、この眼鏡を正しく使用することで、一定範囲で、学童期の近視進行が抑制されると結論されています。MCレンズを使用した近視進行の抑制の実証研究が4年間にわたって岡山大学眼科で行われました。その結果、通常の単焦点眼鏡に比べてMCレンズ の方が15%近視の抑制に有効(製造メーカーのHPでもそう記載されています)であったと結論づけられました。
ただ近視抑制効果の程度は-0.12D程度と思われます。オルソKが圧倒的に近視抑制には優れていますが、ほぼすべての方に使用できるメリットは大きいです。
オルソケラトロジーとは、睡眠中に特殊にデザインされた通常ハードコンタクトが直径8.8mmなのに対して、オルソKレンズはより大きくが直径10.2mmあります。これを装用することで角膜のカーブを鋳型にはめる様に緩くして、網膜上にピタリ像が結ぶよう調節します。通常1日4時間以上装用するもので日中にコンタクトや眼鏡なしでも生活できるようにしようとするもので更に近視抑制効果も一石二鳥と言えるものです。安定化した頃(1-2週間以上)頃には毎日しなくてもよくなる方もいらっしゃいます。また、就眠中うつ伏せになったりしても全く問題ありません。
オルソケラトロジーによる角膜の扁平化が、近視の進行の原因とされる眼軸長の延長を軽減し近視進行抑制効果が期待できるのです。眼軸長も眼鏡装用者に比べオルソケラトロジーの場合1.4mm伸びを抑制したとの報告もあります。
一般的には眼軸長1mmで近視は-3.0からー3.5近視化するといわれています。国内のデーターを分析すると-1.00Dから-1.50Dの近視抑制効果があると考えます。
日本人のデーターで眼鏡装用と比べ、36%の近視抑制効果があったことも追記します。
コンタクトレンズを遠近両用とすることで、近くを見るときの負担を軽減させるのと周辺網膜のずれも軽減できます。
中国のデータですが、眼鏡装用と比べ34%の近視抑制効果があったと報告されています。
また日本のデータでも、通常のソフトコンタクトレンズと比べ、47%の眼球の軸が伸びが抑制できた(近視は眼球の軸が伸びることによっておこる)と報告されています。
(こちらは通常の遠近両用ソフトコンタクトレンズを使用しますので保険診療はできますが、小さい子供さんには合わせることができません)
シンガポール国立眼科センター(SNEC)のアトロピン0.01%の効能・効果及び安全性の研究(点眼を2年間継続した後によるもの)では無治療の2.5年間の同世代と同じであったと報告されています。
またシンガポールで5年間低濃度アトロピンを使用するとの近視の進行程度が、50%の近視抑制効果があったとされました。
しかし、この論文には比較試験は行っていない、偽薬との比較も行っていないなど問題点が多く、日本国内で結論出ていません。
そのためマイオピンは我が国ではいまだ認可されておらず、当院では現時点でこの治療を行っていず、日本小児眼科学会の結論を待っている状態です。
よつば眼科では、WEB予約を承っております。
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