目の状態が気になる方や高血糖の方に向けて、糖尿病性白内障について解説していきます。
今まで良かった視力が突然下がって、大きな文字も見えなくなってきたなどの症状が現れると、さぞ不安なことでしょう。
高血糖の方や糖尿病を患っている方であれば、糖尿病性白内障かもしれません。
治療をすれば視力は良くなるのか、どのような治療をするのかとさまざまな不安が湧いてくるはずです。
そこで今回は、糖尿病白内障とはどのような眼疾患なのか、症状・原因・治療法・予防法の4つの観点から解説します。
糖尿病で目への不安がある方や目に違和感を抱いている方は、ご自身の症状と照らし合わせながら読んでください。
ご自身の症状が糖尿病白内障か判断する材料になるでしょう。
また予防法や治療法が知りたい方にも役立つ記事です。
糖尿病性白内障とは
糖尿病白内障とは、
糖尿病の方が併発しがちな眼疾患のことです。
血糖値があがるとともに黒目に濁りがあらわれてきて、白内障を引き起こします。
この病気を発症する年齢ではない20~30代の方でも罹患するリスクがあることが特徴です。
高齢者が罹患する白内障よりも、進行が早い傾向にあります。
ただし診察において糖尿病を原因とする白内障であると言い切ることは簡単ではありません。
そのため糖尿病や高血糖以外に原因がみあたらない場合、糖尿病性白内障とされます。
糖尿病性白内障の症状
よく見られる代表的な症状は次のとおりです。
濁りが生じる場所により4つのタイプにわけられるため、それぞれで少しずつ症状が異なります。
症状1:かすみ・ぼやけ
比較的よく見られる症状は「かすみ」と「ぼやけ」です。
特に水晶体周辺から中心部にかけて白濁する「皮質白内障」でよく見られます。
視力が下がっていないにも関わらず、かすみやぼやけにより見えにくくなる状態です。
症状2:視力の急激な低下
「高嚢下白内障」では視力の急激な低下が現れることもあります。
発症初期段階から、明るいところで視界が悪く感じられるのが特徴です。
他のタイプと比べて症状の進行が早く、突然視力が低くなったように感じられます。
症状3:近視
「核性白内障」では、近視が進行することがあります。
近視となるため発症初期段階には、近くのものが見えやすくなることが特徴です。
しかしその後、目のかすみなどの症状も加わり、遠近両方が見えにくくなります。
症状4:社会的失明
「成熟白内障」では社会的失明状態となる可能性もあります。
社会的失明とは矯正後の視力が0.1以下となるものの、光は感じられる状態のことです。
全く見えなくなるわけではありませんが、ご自身の手や指を見ることも難しくなります。
糖尿病性白内障の原因
実はこの病気の原因ははっきりと解明されていません。
しかし
高血糖が続くと、アルドース還元酵素により糖から糖アルコールが生成されます。
糖アルコールは水晶体の中に溜まり、細胞内浸透圧を上げることから水晶体内の水分が増加。
水分が増加した結果、水晶体の混濁が起こるとの説が有力です。
その他では酸化や糖化が原因である可能性や、糖代謝異常により細胞膜が壊されることが原因とも考えられています。
以上のように原因は明確になっていません。
しかし、高血糖による糖アルコールの蓄積が原因ではないかと言われています。
糖尿病性白内障の治療法
治療法は主に以下で説明する3種類に分かれます。
初期段階:点眼治療
初期の治療法となるのが点眼治療です。
カタリン・カリーユニなどの点眼薬を用いて、症状の進行を遅らせるための治療を行います。
ただし点眼治療は、あくまでも進行を遅らせる効果しか期待できません。
すでに低下してしまった視力を回復させたり、白内障を治療したりすることは不可能です。
視力回復治療1:白内障手術
すでに低下している視力を回復させるには、白内障手術が必要です。
手術ではまず、濁っている水晶体を眼球から取り出します。
そして人工の眼内レンズを移植し、水晶体の代わりとするのが基本の治療法です。
視力回復治療2:レーザー白内障手術
もう一つの治療法となるのが、レーザー白内障手術です。
一般的な手術では、医師が自身の手を使ってメスによる切開を行います。
一方で、レーザーを用いた手術ではコンピューターを用いて水晶体を解析し、解析結果にあわせてレーザーを照射する流れです。
そのため一般的な手術より精度が高く、目への負担を大きく減らせます。
水晶体を取り除き眼内レンズを移植するとの目的は切開手術と同じなので、より低侵襲で効果の高い治療法と言えます。
レーザー白内障手術について詳細はこちら。
糖尿病性白内障の予防
予防するには次の2つのポイントに気をつけてください。
予防法1:高血糖状態を避けること
まず1つ目のポイントとしては、生活習慣に気をつけて高血糖状態を避けることです。
原因がはっきりとしていないため、確実な予防法をご紹介することはできません。
しかし高血糖が引き金になっていることは確かだと考えられています。
最も有効な予防法は、生活習慣や食生活に気をつけて、健康的な生活を送り、高血糖にならないようにすることです。
予防法2:目に異常があればすぐに眼科を受診すること
進行を予防するための2つ目のポイントは、目に異常が感じられたらすぐに眼科を受診することです。
高血糖にならないことが基本的な予防法ですが、すでに糖尿病になっている方もいらっしゃるでしょう。
血糖値の上昇が続くと、いつ白内障を発症するともわかりません。
実際に発症した後にそのまま放置すると、症状が進行し、手術をしても視力が回復しなくなる恐れもあります。
そのため目に異常が感じられたら眼科を受診し、症状の進行を食い止めることが大切です。
白内障は加齢以外でも発症する
この記事では、20代、30代でも発症リスクのある糖尿病性白内障について紹介しましたが、同じくどの年代であっても発症のリスクがある外傷性白内障があります。
外傷性白内障について紹介している記事もございますので、ぜひご覧ください。
外傷性白内障の原因と発病すると現れやすい症状、そして治療法
目に異常があれば迷わず受診を
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、糖尿病性白内障とはどのような疾患か、原因や症状、治療法、予防法とともにご理解いただけたと思います。
若い人でも発症するリスクのある白内障なので、目に異常が感じられたときは迷わず眼科を受診してください。
北あやせよつば眼科では、患者様一人ひとりに寄り添ったレーザー白内障手術を実施しています。ぜひお気軽にご相談ください。