「目をぶつけたから外傷性白内障が心配」「外傷性白内障ってどんな病気」などと考えていませんか。視力に影響を与えることがあるため、気にしている方が多いでしょう。外傷性白内障は、打撲などをきっかけとする白内障です。年齢にかかわらず発病するリスクがあります。したがって、10代、20代であっても油断はできません。
この記事では、外傷性白内障の概要を解説するとともに気を付けたい症状や治療方法などを紹介しています。以下の情報を参考にすれば、どのような症状に注意すればよいか、外傷後どのように対処すれば良いかなどがわかるはずです。目をぶつけたなどに心当たりがある方は、参考にしてください。
外傷性白内障とは
白内障は、
何かしらの原因で水晶体が濁る病気です。外力により生じた損傷をきっかけに水晶体が濁るものを外傷性白内障といいます。ちなみに、水晶体は、カメラのレンズのような役割を担う組織です。毛様体とチン小帯と呼ばれる組織が連動して動くことで厚みを変えてピントを合わせます。
外傷性白内障では、外傷により水晶体を固定しているチン小帯が切れていることや弱くなっていることが少なくありません。チン小帯が切れるなどすると、水晶体が本来の位置からずれてしまいます(水晶体亜脱臼・水晶体脱臼)。また、水晶体を覆う水晶体嚢に亀裂が入ることや白内障が急激に進行して水晶体が白く濁り硬くなることもあります。この症状があらわれると、失明のリスクを伴う白内障の最後の段階です。外傷性白内障には十分な注意が必要といえるでしょう。
外傷性白内障の症状
高齢者に多い加齢性白内障と同じく、外傷性白内障でも水晶体が濁ります。光がとおりにくくなるため、主な症状として視力の低下が現れます。また、同様の理由で、ものがかすんで見える、ものがぼやけて見えるなどの症状も現れやすいといえます。以上のほかでは、以前よりもまぶしく感じることも少なくありません。この状態を羞明といいます。羞明が引き起こされる理由は、水晶体の濁りで入り込んだ光が散乱するからです。羞明は、白内障の初期から現れやすい症状と考えられています。受傷後にまぶしさを感じる場合は、外傷性白内障に注意が必要といえるでしょう。
ただし、外傷性白内障の症状は、受傷後すぐに現れるとは限りません。症状が現れるまで、数年かかるケースもあります。例えば、受傷から10年以上たって視力低下が現れることも考えられます。
すぐに症状が現れないからといって、外傷性白内障のリスクがないわけではありません。
外傷性白内障の原因
この病気を引き起こす原因は、外力により生じた損傷、つまり外傷です。ここでいう外傷は、鈍的外傷と穿孔性外傷に大別できます。それぞれの概要は次の通りです。
鈍的外傷
鈍い衝撃により生じた損傷です。代表的な例としてあげられるのが、衝突や転倒による打撲です。具体的には、以下のケースなどが考えられます。
【鈍的外傷の例】
- バトミントンのシャトルが目にぶつかった
- 野球のボールが目にぶつかった
- 転倒して机の角に目をぶつけた
- 喧嘩で目の周辺を殴られた
- 交通事故で目をぶつけた
鈍的外傷による水晶体の混濁はゆっくりと進む傾向があります。ただし、症状がないからといって、放置はおすすめできません。白内障を放置すると、緑内障発作の原因になることがあるからです。目の周りに外力が加わった場合は、目立った症状が現れていなくても眼科を受診して経過を観察するほうがよいでしょう。
穿孔性外傷
異物が角膜を貫通して水晶体を損傷する外傷です。代表的な例としてあげられるのが、刃物が目に触れる、鉄の破片が目に入るなどです。具体的には、以下のケースなどが考えられます。
【穿孔性外傷の例】
- バイクで転倒してプラスチックの破片が目に入った
- 自動車の事故で割れたフロントガラスが目に入った
- 工場の作業中に欠けた鉄片が目に入った
- うっかりペンで目を突いてしまった
穿孔性外傷は、さまざまな原因で起こりえます。外傷性白内障のほか、感染症などのリスクもあるため、目を傷つけたときは眼科を受診しましょう。
外傷性白内障の治療方法
まずは、検査を行い目の状態を調べます。治療を始めるのは、外傷性白内障と診断されてからです。
鈍的外傷が原因の場合
鈍的外傷による白内障は混濁がゆっくりと進むため、進行を遅くする目薬などをもちいつつ経過観察することがあります。ただし、目薬などで水晶体の濁りを取り除くことはできません。病状が進行して視力が低下している場合は手術を行います。
穿孔性外傷が原因の場合
眼圧をうまくコントロールできない場合や視力低下が生じている場合は手術を行います。治療用のコンタクトレンズで傷をうまく管理できる場合は、細菌の感染を抑えつつ様子を見ることがあります。
レーザー白内障手術
外傷性白内障で視力低下などが引き起こされている場合は、混濁した水晶体を分割して取り除き眼内レンズに置き換える手術を行います。具体的な手術の方法や難易度は、外傷の程度などで大きく異なります。最先端の手術方法としてあげられるのが、レーザー白内障手術です。最大の魅力は、難易度の高い手術のプロセスをレーザーで行えることです。したがって、医師個人の技術に頼る従来の白内障手術よりも安全性が高く、多焦点レンズの性能を引き出しやすいと考えられています。これらの特徴から、難易度の高い白内障手術に適しているといえるでしょう。外傷性白内障の手術は難易度が高くなることが多いため、レーザー白内障手術と相性が良いと考えられます。
外傷性白内障の予防
外傷性白内障は、外力により生じた損傷で引き起こされる白内障です。したがって、取り組み次第では予防できる可能性があります。具体的には、スポーツや作業時にゴールを着用するなどが有効な対策になります。また、目に外力が加わった場合、速やかに眼科を受診することも重要です。
加齢性の白内障だけではない
この記事では年齢にかかわらず発症するリスクがある外傷性白内障について紹介しましたが、同様に20~30代でも発症する糖尿病性白内障があります。
糖尿病性白内障について紹介している記事もございますので、こちらもあわせてご覧ください。
糖尿病性白内障とはどのような疾患か症状・原因・治療法・予防法
外傷性白内障に注意しましょう
外傷性白内障の概要や症状、治療法について解説しました。外傷により引き起こされるため、若い世代でも起こりえます。目に外力が加わったときや何かしらの症状を自覚したときは躊躇せず眼科で相談しましょう。
北あやせよつば眼科では、患者様一人ひとりに寄り添ったレーザー白内障手術を実施しています。ぜひお気軽にご相談ください。